モノーキ
第16回「現代日本交通事情に隠された第3の選択」


カワタ「うぅぅ…」
オオタ「カワタさん。どうしたんですか?やつれた顔して。」
カワタ「仕事で左遷されて、現在あの山手線半周を含む片道一時間半コースなんだよ。」
タカハシ「それは大変だな。」
オオタ「あ、タカハシさん。でも、カワタさん一時間半の通勤時間なんてあたりまえですよ。知っている人では2時間もかかる人がいますよ。」
カワタ「ばかやろぉ、俺が人一倍体力と根性がないのはわかってるだろう?だから会社は家の近くを選んで楽をしてたんだよ。大体たかだか通勤時間で3時間、一日の1/8も使ってたまるか!!」
オオタ「体力と根性つけましょうよ。」
タカハシ「いや、今回ばかりはカワタの言い分が正しいと思う。」
カワタ「『ばかり』はよけいだ。『ばかり』は」
タカハシ「大体、体力などは個人差がある。それはどうしようもないものだ。正確に言えばなんとかならないことではないが多大な苦労を伴う。」
タカハシ「ならば自らに都合のいい人間平等論など捨てて、むしろ個人に最適な環境を与えてそこで最大限の力を発揮させる方が得策なのではないか?」
オオタ「たしかになんでも根性論で解決しようという節がまだありますからね。」
カワタ「そうだ。そうだ。未だに戦争中の倫理を現在に要求することが無理がある。」
タカハシ「そもそも、これだけ情報化がすすんだ現在、人と人が直接であって商談するという機会は格段に減らせるはずだ。もちろん0にするということはできない。しかし、大幅に減らすことは可能なはずだ。そうなった際に地価が高いだけの都心に固執する理由は何もない。普通に考えれば情報化産業を中心として、産業のドーナツ化現象が起こり始めていているのが当然のはずなんだ。」
オオタ「ですが、そんな兆候はまったく聞いたことがないですよ。」
タカハシ「そう今現在わざわざ都心に就職先を求める理由なんてほとんどない。」
タカハシ「しかし、日本人の大半が都心への働き口を探す理由が一つだけ考えられる。 精神攻撃装置だよ
カワタ「以前調査した、主用な電車を利用して人間の精神を攻撃しようという装置のことか。」
オオタ「ですが、あれで攻撃を受けているのなら、なおさら都心から人間は離れて行くのではないでしょうか?」
タカハシ「たしかにそうなのだが…、いや、待てよ…。そうか、そうとしか考えられない。」
オオタ「なにかわかったんですか!!」
タカハシ「あぁ、俺達は精神攻撃装置について重大なことを見落としていた。そして、人々がなぜ都心に固執するのかその理由も同時にとくことができた。」
カワタ「なんだって!!」


タカハシ「日本人は満員電車の中で禅の境地にたどり着いていたんだ!!」
カワタ「どういうことだ。そりゃ?」
タカハシ「考えてみて欲しい。仮に『人々にとって満員電車は苦痛な空間ではない』としたら何故だと思う?」
オオタ「慣れているから、苦痛を感じないのではないでしょうか?」
タカハシ「それもあるかもしれない。しかし苦痛も毎日続けばいつかは体に偏重をきたす。例え極端な効果が出ないとしても、学問、仕事に多大な影響を与える。このくらいのことに、いくら慣れたとはいえそれに気づかない人間は少ないだろう。」
カワタ「苦痛な俺には慣れるという感覚はさっぱりわからないな。」
タカハシ「そう、苦痛に耐えられない。ならば感じないようにすればいい。だから人々は電車の時間の中で自らの意識を立ちきろうとする。」
オオタ「そういえば禅の境地というのも、『まずは自分の周りの環境を意識し無いようになって、最終的には自分の存在すら感じなくさせる』とどこかで読んだ憶えがあります!!」
タカハシ「そう、彼らは禅の修業者ですらなかなか立ちいれない境地に、自らの存在すら忘れざるを得ない環境に踏みいることで到達することができたんだ。満員電車から降りた彼らはむしろすがすがしい気分に違いない。」
タカハシ「それが人々が満員電車に好き好んで乗る理由だったんだ!!」
オオタ「なるほど…」
タカハシ「しかし、この集団禅境地の力を利用するものが現れた。」
カワタ「さっきの精神攻撃装置か!!」
タカハシ「あぁ。しかし、あれは精神攻撃装置ではなかったんだ。あれは禅の境地にたどり着いた人間の精神を利用する装置だったんだよ。」
オオタ「それはどういうことですか?」
タカハシ「自分の存在すら認識しない世界。そこまで人がたどり着ければ、本来人間が行う精神活動のエネルギーは内に向かわずに外に向かわざるを得ない。」
オオタ「あ、もしかして…」
タカハシ「そう。その外に向かうエネルギーこそが中国などで盛んな『気』の正体さ。」
タカハシ「そしてその力を収束するのが、俺達が従来『精神攻撃装置』と呼んでいたものさ。」
カワタ「つまり精神攻撃装置は、気を収束して何かを行う装置だったというのか!!」
タカハシ「あぁ、俺達は気のエネルギを奪われることが目的だと思っていた。しかし、それはただのエネルギーを集める手段にしかすぎなかった。俺達は今までその正体の半分も掴めていなかったってことさ…」
オオタ「タカハシさん。その装置の本当の目的はわからないんですか?」
タカハシ「すまない。そこまではまだ俺も…。しかし、一つだけいえることがある。」
タカハシ「今まであの装置を俺達は古代死の商人。すなわちノストラダムスによるものと考えていた。しかし、この装置は現在も起動している。すなわち、この装置はノストラダムスによって操られているものではないということを、意味している。」
オオタ「ということは…」
カワタ「ノストラダムスと同じ手段を使える奴といったら一つしか考えられないじゃないか」
タカハシ「そう。これも桶屋の陰謀の一環と考えて間違いないだろう。」
カワタ「くそ、やつら予想以上に巨大な組織になっているようだな」
オオタ「でも、今まで正体がまったく掴めていなかったんです。少しでも正体が掴めただけ良しとしましょう。」
タカハシ「オオタのいう通りだ。今後はこの装置の真の目的を重点的に調査を行う。彼らは現在わかっているだけでも陰謀が流出するなどそれほど正体を隠すのはうまくないようだ。捜せばきっと尻尾を掴める。頑張ろう。」

タカハシ「セザール…、ノストラダムス…、お前達はいったい何故世界を動かそうと考えるようになったんだ。そして、その手段をどうやって手に入れたんだ。しかしいずれにせよ、いつか歴史を貴様達の手から完全に今を生きる人類の手にとりもどして見せる…」


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