オオタ「タカハシさん!!大変です!!」
カワタ「大丈夫か?息を切らして」
タカハシ「どうした?オオタ。そんなに慌てて。」
オオタ「はぁ、はぁ…。と、とにかくこの本を読んで見てください。」
…
タカハシ「こ、この本は…」
オオタ「似ていると思いませんか?我々MMRAに…」
タカハシ「に、似ている…。そっくりじゃないか。そもそもMMRといったら我々の以前の名称と同じだ。」
オオタ「本屋で何か参考になるかと思って読んで見たら我々の活動にあまりにもそっくりだったので…」
タカハシ「しかし偶然に似た活動をしているとはいえ、活動内容は疑問だな。」
カワタ「というと?」
タカハシ「まず基本的な科学知識に誤りがあるところが多い。バイオテクノロジーでポマトの解説をしているところで、茎にいもがなっているところなどが典型的な例だろう。」
カワタ「ほ、本当だ」
タカハシ「そしてまだ証明されていない仮説を事実にしてしまい、論理の展開を行っている。これでは元になった仮説が間違っていたら、それ以降の論理が崩壊してしまう。」
オオタ「たしかに勢いに飲まれますけど、冷静に読むとそうですね。」
タカハシ「それに内容のほとんどが自分達の頭の中だけで考えた妄想だ。全てが机上の空論なんだよ。発想や着眼点は面白いものがあるだけに、非常に残念だ。」
オオタ「なんで、こんなに内容が似てしまったんでしょうか?」
タカハシ「そうだ。たしかにここまで似ていると何か別の原因があるとしか思えない…。調査の必要があるな。オオタ、カワタすまないがこれからみんなで手分けして、他にも我々と似たような活動が無いか調査してくれ」
…数日後
オオタ「僕は本を中心に当たって見たんですが、それらしき文献は見当たりませんでした。」
カワタ「俺はネットを中心に当たってみたんだが、出るわ出るわ。」
タカハシ「俺も一応両方ともに当たってみたんだが、ネット上での我々に似た活動を行っている個人、団体は非常に多かった。」
カワタ「これは何かあるな…」
タカハシ「あぁ、ここまで存在する以上、これは偶然ではない。もはや必然…」
オオタ「いったい、なぜこのような現象が…」
タカハシ「わからない…、いやまてよ…たしか…」
カワタ「なんだよ突然MMRを読み出して。それになぜ同じような活動をしている組織があるのか出ていたのか?」
タカハシ「あぁ、その通りだ。ただしヒントだけだがな。」
オオタ・カワタ「!!」
タカハシ「形態共鳴現象によって、多くの人間が同時多発的に真実の追究を始めていたんだ!!」
カワタ「なんだって!!そんなことが起こり得るのか?」
タカハシ「あぁ、MMRにも書いてあるように、形態共鳴現象とは結晶化しないグリセリンがある時期から突然結晶化するようになったり、一匹の猿が芋を洗うようになったら、その島の猿はおろか遥か遠いところの猿も洗うようになった現象を言う。」
タカハシ「そして、もし”形態共鳴”の理論が、我々のような世界の謎を解こうという意志に当てはまったとき…」
オオタ「ハッ!」
タカハシ「そう。我々のような組織が同時多発的に生まれるんだ。」
カワタ「ってことはこの本が元になって、俺達のような組織ができたってことか?」
タカハシ「あぁ、発表された日付けを考えると、我々も知らないところから形態共鳴の理論で、彼らのような組織の力を得ていたのかもしれない。」
オオタ「孤独な戦いと思っていましたが、必ずしもそうではなかったんですね。」
タカハシ「しかし、この理論を逆手に取れば恐ろしいことが起こりうる。」
タカハシ「もし、この理論を知った何物かが、一部の少数の人間を洗脳し、形態共鳴現象のきっかけを作ったらどうなる?」
オオタ・カワタ「あ!」
タカハシ「この事実がわかったことは貴重な成果だ。しかし、この現象を我々は有効に使わなければならない…。もし…、もしもこの現象を悪用する人物が現れ、それを防ぐことができなかったら…」
我々は自らの意志で考え行動していると信じている。
しかし、もしそれが一部の権力者によってそう信じこまされているだけだったら…
我々はもう一度自分とは何かを考えなおさねばならない時期に来ているのかもしれない
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